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本書には、知財戦略における各方策について、最新事例を
豊富に取り入れながら
多面的に解説した内容が掲載されています。

本書は、知財戦略の基本知識だけでなく応用知識についても
説明しているため、初学者と実務者の方におすすめです。
全8章で構成されているが、実際の統計データを用いて説明している箇所が
多くあるため、説得力があり、理解しやすいと思う。

印象に残ったポイントは、下記8点です。

(1)オープン化の代表例は、ある技術について特許を集積して一括して
   実施希望者にライセンスする「パテントプール」であり、
   これが初めて形成されたのは、「MPEG-2」という
   動画圧縮技術に関してである(本書51頁参照)。

(2)FRAND宣言をすると、ライセンス料率は著しく低下し、通常であれば
   3%程度のライセンス料率となるべきところ、0.01%程度相当の
   レベルでのライセンス契約を余儀なくされるおそれがある
   (本書58頁参照)。

(3)ビジネス上の効果については、オープン戦略がマーケット規模の
   拡大であり、クローズ戦略がマーケットシェアの増大である
   (本書59頁参照)。

(4)現在、米国の特許訴訟件数は年間5,000件を超えると思われ、
   パテントトロールによる訴訟は全米の特許訴訟の過半
   (2,500〜3,000件程度)を占めると予想できる(本書85頁参照)。

(5)米国でのパテントトロールの提訴対象は、
   コンピュータ・通信といった分野が全体の75%程度もの割合を
   占めている(本書85〜87頁参照)。

(6)近年の特許売買事例で、特許の譲渡件数が開示されている事例を
   中心に見ると、米国かつICT(情報通信技術)業界における
   特許売買事例が多いため、ICT業界において特許を獲得することが、
   いかに重要であるかを物語っている(本書112頁参照)。

(7)必須特許を保有することが、特許リスクを制御して市場参入を
   継続していくための大前提であることがわかり、
   「必須特許なくして市場参入なし」(必須特許ポートフォリオ理論)が
   成立する(本書171頁参照)。

(8)最近になって、知的財産高等裁判所の判事が、和解終了をも勘案した
   特許権者の実質勝訴率は40%を超えるという集計の結果
   (集計対象:2011年から2013年までのデータ)を公表した
   (本書212頁参照)。

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